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「映画で旅する自然派ワイン」ドキュメンタリー

この秋、2本の自然派ワインのドキュメンタリーが公開となります。 1本は南仏、1本はジョージアが舞台です。

文・飯島千代子

 「ワイン・コーリング」は南仏ルーション地方で自然派ワインと呼ばれる造り手たちを追ったもの。

畑での作業、収穫、ブドウを運び圧搾し、発酵させてとワイン造りの一連の仕事を音楽にのせ映し出しています。

ある造り手が、自然派ワインは何も仕事をしていないと言われることがあるが、

それはまったく違って普通の何十倍もの仕事量があると語った言葉が心に響きました。

自然を尊重しながら造ることと、手をかけないことは違います。 また、造り手同士の助け合いの精神も、現代社会に訴えかけるものがありました。

ワイナリーや地元のビストロでの仲間との食事、

子供を連れてのピクニックなど 随所に散りばめられたワインを楽しむシーンは、まさにワインとは生活になくてはならないものだと教えてくれます。

ワインの醸造技術というよりも、どう生きるかが、自然派ワインの味を左右しているように感じました。

「ジョージア、ワインが生まれたところ」は、紀元前6000年からワインを造っている世界最古の産地ジョージアが舞台。

ワイン発祥の地に興味をもったアメリカ人ソムリエが、造り手を訪ねていく様子を紹介しています。

映画では、とくにユネスコ世界無形文化遺産に登録された「クヴェヴリ製法」にスポットを当てています。

これはクヴェヴリという素焼きの壺を土の中に埋め、ジョージアの固有品種のブドウ、野生酵母で発酵・熟成させる醸造法のことです。

かつては、どの家庭でもこの壺を使ってワインを醸造していたそうです。 しかしソ連占領時代にワインは大量生産へとシフトし、500種類以上あるといわれていたブドウ品種も効率優先で、大幅に削減されてしまいました。

この映画では、消滅しかかっている地元の野生品種の調査に情熱を傾ける造り手、

ソ連時代に没収された曾祖父のブドウ畑を買い戻し、「クヴェヴリワイン協会」を立ち上げた造り手、ジョージアでは初となる輸出を始めた女性の造り手など、

究極の自然派と称されるクヴェヴリ製法を実践する造り手が、

それぞれの思いを語っています。

ジョージアの美しい自然、素朴な人たちや多声合唱の文化に触れることもでき、

舞台となった村に行ってみたくなります。

 国や栽培品種、醸造法は違っても、どの造り手たちにも共通しているのは、自分らしいワインを造りたいということ。

 評価など気にも留めず、ひたむきにワインと向き合う姿は尊く感じます。 映画に出てくるワインはどのような味わいなのか、観たあとにはテイスティングしたくなることでしょう。

2019年11月1日(金)、シネスイッチ銀座、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開 

『ワイン・コーリング』 

© PINTXOS2018

監督:ブリュノ・ソヴァール

出演:ジャン・フランソワ・ニック、他

2018年/フランス/90分/フランス語/DCP/5.1ch/1:1.85/原題:WINE CALLING

『ジョージア、ワインが生まれたところ』  © Emily Railsback c/o Music

監督・撮影・編集:エミリー・レイルズバック

出演:ジェレミー・クイン、他

(2018年/アメリカ/78分/英語、ジョージア語/DCP/1:2.35/原題:Our Blood Is Wine)

字幕翻訳:額賀深雪/翻訳協力:ニノ・ゴツァゼ/字幕監修:前田弘毅

配給・宣伝:アップリンク © Emily Railsback c/o Music