サッポロが輸入販売するフランスのガスコーニュ地方の生産者「ドメーヌ・タリケ」より 『アルマニャックVSOP』と『アルマニャックXO』が新発売となりました。
そこでアルマニャックとスティルワインの試飲コメントをスペインバル「ロスビノス」のオーナーソムリエの櫻井一都さんにうかがいました。
外食ではお酒が飲めないこの時期ですが、スペイン料理とのマリアージュも併せて紹介致します。おうち飲みの参考になる料理も提案いただきました。
取材・文/飯島千代子


「レストラン・サンパウ」オープン時よりシェフソムリエを経てスペインへ。帰国後は数店でマネージャー兼ソムリエを務め、2014年に独立し「ロスビノス」をオープン。ICEX(スペイン貿易庁)、スペイン大使館経済商務部主催の「スペインワインコンテスト2007」で優勝。2010年カバ振興会サドゥルニCAVA功労騎士叙任。
マルマニャックが造られるガスコーニュ地方はフランス南西部に位置し、大西洋とピレネー山脈に挟まれた土地です。「ドメーヌ・タリケ」の起源は17世紀にまでさかのぼり、元々、アルマニャクを生産していました。1912年にグラッサ家がオーナーとなり、現在では5代目のレミーとアルミン兄弟が指揮をとり、アルマニャックの蒸留施設をリニューアルするなど、スティルワイン生産とも力を入れています。
アルマニャックの生産は三つの地域があります。西部がバ・アルマニャックといい、ドメーヌ・タリケがあるのもここでフルーティな味わいが特徴といわれています。中央部はアルマニャック・テナレーズ、東部がオー・アルマニャックです。
櫻井さんのコメントを紹介します。
『アルマニャックVSOP』はアルコール度数40度。品種はユニ・ブラン60%、バコ40%を使用し、熟成期間は5~7年。
「マンゴーやグアバのような南国のフルーツ、熟した甘いアロマが特徴。香りと同じようにまろやかな甘さ、厚みや奥深さがあります。これはそのままで飲みたいですね。食後にゆっくりチョコレートや葉巻とともに楽しみたいです」
『アルマニャックXO』もアルコール度数は40度で、品種はユニ・ブラン60%、バコ40%を使用。熟成期間は12年~15年。
「外観はぐっと深みが増して焦げ茶色。先ほどのVSOPがフルーツのアロマに対して、これはカラメルのようで熟成が増して濃密です。このコクはやはりチョコレートやクレームブリュレ、クレープシュゼットなどと合いますし、葉巻にもぴったりです」
さらに「黒蜜を使った和菓子にも合うと思います。例えばあんみつや信玄餅などとのマリアージュも楽しんでいただきたいですね」
櫻井さんはスペインでソムリエ修業を経験しています。現地では「カラヒージョ」といってコーヒーにブランデーやウイスキーなどを入れたホットドリンクや、エスプレッソに少量のミルクを入れた「カフェ・コルタード」にブランデーやリキュールを入れたアイリッシュコーヒーのようなドリンクをよく飲むそうです。
それらをアルマニャックで応用するという提案をしつつも、
「やはりアルマニャックは単体で飲んで余韻を楽しみたいですね。シガーバーやグラン・メゾンで店の贅沢な雰囲気の中でゆったりとくつろぐ、そういう価値ある一杯だと思います」


フレッシュな白&芳醇なロゼと料理のマリアージュ
今度はガスコーニュ地方のワインの試飲をしていただきました。「ドメーヌ・タリケ」は白の造り手として知られています。ロゼともども家庭で応用できそうな料理のアイディアにも注目です。
『タリケ クラシック 2019年』
(品種:ユニ・ブラン、コロンバール、ソーヴィニヨン・ブラン、グロ・マンサン)
「太西洋の潮の香りが鮮明に感じられます。酸味もはっきりしていて、梅雨時に飲むにはぴったりのカジュアルな味わい。ほんのり甘みや果実味があり、安心感があります。カキのミネラル感とキンキンに冷やしたドライなこの1本を合わせたいですね。他にはオイリーなものが合うので、例えば鴨のオイル漬けなどを刻んでパスタとあえるのもいいですね。おすしなら光もの。コハダ、サバがいいと思います」
『タリケ ソービニヨン 2019年』
(品種:ソーヴィニヨン・ブラン)
「第一印象はセルフィーユ、ディル、イタリアンパセリなどやさしさのあるハーブ感。
ややオイリーな口当たりで塩味も感じ、酸味はおだやか。アフターの果実味もやさしく、カリンや白桃、柑橘類のやさしい甘さもあります。和食なら白身魚やホタテの真丈に白出汁をはり、ユズを添えたお椀が合いそうです。洋風なら蒸し煮にした白身魚にフェンネルなどのハーブ、ベルモット、ほんのりクリームのソースを合わせたいですね」
『タリケ シャルドネ 2019年』
(品種:シャルドネ100%)
「先ほどの2本に比べて色調がぐっと濃くなりました。パッションフルーツやマンゴーなどの黄色系フルーツの香りやバターやキャンディのクリーミーな風味を感じます。さらにミネラル感もあり、一部樽を使っているので複雑味もあり、ミディアムライトな上品なシャルドネだと思います。白身の肉を使った料理、例えばバンバンジーや鶏肉のハム、フレンチマスタードを付けたソーセージ、魚はバターを使うムニエルにケイパーの酸味を加えて。冬なら白子とぽん酢も合いそうです」

『タリケ コーテ 2019年』
(品種:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン)
「華やかな香りがあり凝縮感や酸味、余韻の長さも感じられます。爽やかなハーブ、シャルドネのコクなど品種の特徴がバランスよく出ています。ガスコーニュという唯一無二な味わいで、これはソムリエなど勧める方の腕が試される通向け。家飲みというよりも、お店でグラスワイン向けですね。仔牛のカツレツにレモンを搾って。モッツァレラやブラータチーズ、中華なら八宝菜や水餃子に酢醤油をつけて、蒸した点心などが合いそうです」
『タリケ レゼルヴ 2016年』
(品種:グロ・マンサン、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン)
「ボルドーのソーテルヌの辛口スタイルのようで、セミヨンの高貴な色合いです。蜜ロウやバニラや黄色いフルーツのアロマにヨードやミネラル感があり、ガスコーニュのオリジナリティを感じます。ほんのり甘さもあるので酢豚、ウナギのかば焼きが合いそうです。シェリーのアモンティリャード的な酸化熟成した香りもあるので、醤油、甜面醬などの濃い味付けとも相性がいいでしょう。照り焼き、焼き鳥のタレ、サバやカレイの煮つけなどもお勧めです」

イベリコ豚の生ハムの甘さや脂には、凝縮感や少し甘みを感じる白がマッチ。
『タリケ ロゼ 2019年』
(品種:メルロ、カベルネ・フラン、シラー、タナ)
「香りは控えめでおだやか。アセロナのグミのような風味にほんのりスパイシーさ、土っぽさなど4品種のいろいろな要素が見られます。果実味が柔らかく、ほんのり甘やか。酸味がおだやかでタイトでスマートなイメージ。プラムやブルーベリーを少し煮詰めた果実味があり上品な飲みやすい味わいです。ほんのり甘いのでココナッツを使ったタイカレー、ラムや豚肉をスパイスに漬けたスペインの串焼き、中国の腸詰、スペアリブ、火鍋も合うと思います」

「ロスビノス」
東京都品川区東大井町5-15-10カンナビル3F
℡03-6718-4210
休業・営業時間につきましてはHPやメールでご確認ください