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東京ブランドのいちごが登場 『東京おひさまベリー』

ショートケーキやいちごのタルトなど真っ赤ないちごは愛らしく、スイーツでも大活躍。
福岡「あまおう」や栃木「とちおとめ」が有名ですが、東京にもブランドいちごができました。その名も『東京おひさまベリー』。栽培が秋から始まり、来年5月には登場します!

いちごの新品種開発は、各県が力を入れている取り組みといっていいでしょう。最近では、埼玉県の『かおりん』『あまりん』が2017年1月に、佐賀県の『いちごさん』は18年11月に発売となっています。そして今年の秋からは東京都が開発した『東京おひさまベリー』の苗の販売が始まり、来年5月には直売所に登場となります。

大粒の露地栽培の新品種

この『東京おひさまベリー』は露地栽培に適した新品種を作ろうと、およそ20年の歳月をかけて誕生しました。

「これまで主力だった『宝交早生(ほうこうわせ)』は甘味がありますが酸味は控えめで柔らかく、粒が小さめなのです。そこで甘味と酸味のバランスが取れていて、大粒で果肉も赤く、しっかりした硬さがあり傷みにくい品種の開発を目指しました」

と、東京都農林総合研究センターの竹内氏は語ります。こうして『宝交早生』より糖度も高く、粒の大きさは1.4倍、いちごらしい香りにもこだわった『東京おひさまベリー』が生まれました。
「いちごの大産地では促成栽培(施設での栽培)でクリスマス商戦に向けて、11月下旬から出荷が始まります。一方、自然条件で育てる露地栽培はいちご本来の旬である5月に収穫となります」

確かにクリスマスケーキのいちごの印象が強く、いちごの旬は冬と錯覚してしまいそうです。露地栽培は改めていちごの旬を教えてくれました。

「東京」の名を付けたいちご

自然条件で育てる露地栽培の収穫は4月末から5月末まで。つまり交配チャンスは1年に1回なので、ここで何千もの個体から優良なものを選別して交配するので時間がかかるのです。『東京おひさまベリー』は『女峰』と『宝交早生』を交配し、そこからさらに交配を繰り返しました。ようやく「これぞ」と思うものを絞り込でからは、3年間の生産能力の試験を行いました。こうして最終的に選ばれたものが、晴れて19年3月に新品種として登録されたのです。
初年度となる今年は1万2000株が種苗会社を通して販売されました。都内だけでなく、青森から鹿児島まで日本全国から問い合わせがあり、すでに完売したそうです。

「冬をしのいでゴールデンウィークごろに収穫できるように開発したので、それを名前で表現しました」と竹内氏はネーミングに込めた思いを語ってくれました。
都内では多摩地域や練馬区などで露地栽培のいちご園が点在しているそうですので、来年5月になったら、直売所に行ってみようと思いました。
都内のレストランなどで「東京野菜」のブランド力が話題にもなっている昨今、「東京」という名を付けたこのいちご、注目です。

(text by Chiyoko IIJIMA)

左の『東京おひさまベリー』の果肉は赤い。右は『宝交早生』

上段は『宝交早生』、下段は『東京おひさまベリー』