「ワイナリーステイ トラヴィーニュ」誕生
新潟県にある「カーブドッチワイナリー」に、オーベルジュ「トラヴィーニュ」が 11月1日にオープンしました。
宿泊体験のレポートをご紹介します。
文・飯島千代子


エントランスからロビーに入ると、そこはまさにヨーロッパの邸宅という風情が漂います。「カーブドッチワイナリー」の醸造家・掛川史人氏の母であり、「欧州ぶどう栽培研究所」代表取締役の掛川千恵子さんが、ヨーロッパに行って選んだ調度品が醸しだすものでしょう。
スペインから調達したというインテリアを中心にあつらえた10室の客室は、重厚な館風や可憐な天蓋付きベッドなど、それぞれが違った趣きの演出となっています。
スタイリッシュな部屋の窓外に広がるのはブドウ畑と角田山。
静寂な空間で心身ともにリフレッシュできることでしょう。
部屋は番号の代わりに「かわうそ」「あなぐま」といった「どうぶつシリーズ」の名前がついているところも、遊び心が溢れています。
ディナーや朝食は隣りの建物内の「レストランヴィーニュ」で。
東京のフランス料理レストラン「ブルギニヨン」で修業した佐藤龍シェフによる、新潟周辺の四季折々の素材を盛り込んだ料理を楽しむことができます。
ディナーの一例を挙げると、アオリイカとアーモンドのクリームソース、 脂ののったノドグロの炙りや、ピンチョスのようなアンコウのプランチャ焼き、イノシシのローストとサザエのソースなど。
佐藤シェフは山海の幸の独創的な組み合わせを、一皿一皿ごとに表現しています。
ワインは6種類が楽しめるペアリングコースが用意されています。
ペティアンから始まり白、赤ワインまでカーブドッチワイナリーを代表するラインナップとなっています。
豊かな果実味と酸味の『シャルドネ2018年(ノンバリック)』はアオリイカの甘味やクリームソースと合わせて。
フレッシュさやミネラル感に富む『アルバリーニョ2018年』は、アンコウの濃厚さを包み込みます。
海のワインと言われるアルバリーニョは魚介類全般に合うので、いろいろな組み合わせを試してみたくなります。
食後のコーヒーやプティフールはロビーラウンジでゆったりと。
もう1杯、食後酒など飲みたいときには、支配人の柿沼哲夫氏らスタッフたちに相談するといいでしょう。






新潟といえば「アルバリーニョ」
翌日は掛川氏が案内する「ワイナリーツアー」に参加しました。 「カーブドッチワイナリー」は、新潟初のワイナリーとして知られています。ワイナリーのある角田浜は海に近い場所ゆえ海風が吹き、砂質土壌というのが特徴。かつて千恵子さんが、スペインのガシリア地方の海岸を旅した時、この土地との共通点を見出し、アルバリーニョを栽培しようと決意したといいます。
その直感は見事に実り、昨今、国産アルバリーニョは大きな注目を集めています。 「アルバリーニョの特徴の華やかな香りや軽やかさを、この砂質土壌がもたらしてくれます」
と掛川さん。
砂質土壌はピノ・ノワールの造りの答えも導いてくれたそうです。 「2009年ヴィンテージのピノ・ノワールを2013年に飲んだ時、華やかで土地の良さがワインに表れていると実感しました。これで方向性が見え、加工をするのではなく、土地を表現する造りに変えました」
ワインのスタイルはジャンル違いの音楽
「カーブドッチワイナリー」のワインは3つのスタイルに分けられます。 「セパージュシリーズ」は、連綿と受け継がれてきたテクニックを使い、砂質土壌の味わいを表したもの。これは音楽に例えると「クラシック」。
醸造を初めて8年目、かつての仲間の新しいワインを飲んだ時、自分も何か楽しみたいという気持ちから生まれたのが、2014年に誕生した「どうぶつシリーズ」。 これは、すばり「ジャズ」。
昨年初リリースした「ファンピー・ロゼ」は、生食用ブドウのスチューベンを中心に造ったもの。親しみやすい味わいは「J-ポップ」。
フランスに4年滞在し、ワインを学んだきた掛川さん。
砂質土壌という特徴をフル活用して、今後は「米どころ、新潟」というフレーズのごとく「新潟といえばアルバリーニョ」となるよう取り組んでいくそうです。
ワイナリースティ トラヴィーニュ
新潟県新潟市西浦区角田浜1661
℡0256-77-5460
※新潟駅⇔カーブドッチ
無料シャトルバスあり。
毎日運行。前日までに予約。所要時間50分。
予約番号0256-77-2226 HP http://travigne.jp