ニッポンを食でを元気に

連載①   イレール人形町 / 島田哲也シェフ

 「やんばる野菜とシークワーサーのソース」

 

中央区の下町,人形町の路地に佇む「イレール人形町」は木の温もりと清潔感があふれるビストロ。「恵比寿イレール」としてクーカルに参加していただいていた島田哲也シェフが1年程前にオープンしたお店です。恵比寿では特別なシーンで利用され “非日常”を演出していたイレールが“日常”を感じるビストロという形態を選び、自然と寄り添うようになったきっかけは?新しい土地で新たな魅力を放つ島田シェフに「ニッポンの味」をうかがいました。

 

ニッポンの味、というテーマを考えたときに、真っ先に思いついたのは「やんばる野菜」でした。今年の夏に沖縄に行く機会があって、名護市の北にある備瀬という町に滞在したんだけど、ここら辺はやんばる地方といって山や森林など自然が多く残っている地域。県内でも戦地にならなかった場所だから日本古来の在来種や土着品種が数多く残っているんです。そこで昔からの種を守り、自然を守りながら野菜を作っている生産者と出会って。沖縄では農家のことを畑人(はるさー)って呼ぶんだけど、30〜40代のまだ若い畑人のグループが、有機栽培は難しいと言われている沖縄で、研究しながらその土地の味を守っていた。

またその野菜がおいしくて。素材の味がしっかりしているというか、南国ならではの力強い味がする。太陽と雨を浴びて、暑い気温にも耐えた濃密な味。香りも強い。日本の素材はフランスに比べると弱いって言われていたけど、今ではまったくそんなことないと思う。レベルが高くなっていると感じています。だから今回は古くから守られてきた日本の在来種の野菜たちがメインのひと皿にしました。

 

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“日本のフランス料理”を考えたとき、野菜は切っても切れないもの。素材の形を変えたり手を加えたりするのではなく、どれだけ自然体で野菜本来のうまみを表現出来るか。シンプルに、その時そのものの味わいを引き出すため、ひとつひとつの火入れには最大限に注意を払っています。タイミングを逃さないよう緊張感をもっている。

恵比寿のイレールから17年、以前はトップを狙ってバリバリフランス料理をやってた時期があってね。体力もパワーもあったからレストランは戦場、って感じでした。お客さんをどう驚かせるかという緊張感、常に新しい手を考えていたんだけど、今50代になって、パワーの出し方を変えてみようかと思って。今まで積み上げてきたものをもっと自然体で表現したい、自分の求めているものを素直にお客さんに伝えたい。そう考えたときに、もっと素材の美味しさを追求するようになったんです。料理はシンプルな中に素材の味を最大限引き出すようになって、そうするとワインもグランヴァンではなく、自然派、オーガニックの果実味があふれているもの、とか。今、お店をビストロというスタイルにしたのはそういう生産者と作り手との距離をもっと縮めていたいというところがあったんです。今回のやんばるでの生産者との交流も毎年の恒例にしていきたいですね。

 

「島田シェフとつながる生産者」

沖縄畑人(はるさー)くらぶ/農業生産法人クックソニア

今年の8月に沖縄のやんばる地方で出会ったのは厳しい暑さの中で可能な限り有機栽培を行なっている生産者のグループでした。代表の芳野さんは、沖縄に惚れ込んで移住した生産者。たしか前職はサラリーマンだった。他にも全国から、もちろん県内からもやんばるが好きな13人で色々な野菜をつくっています。在来種を守ることはもちろん、環境を守ることも考えながら取り組んでいます。今回使用した島オクラやうりずん豆などは、天候にもよるけど11月中頃までとれるそうです。まだまだ若い年代のグループだから、これからどんどんいい野菜が出来るのではないかと楽しみにしています。

text by Hiroko Shinbori

 

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クックソニア/ http://cooksonia.net
オンラインショップ/ http://ec.cooksonia.net

 

 →「やんばる野菜とシークワーサーのソース」レシピ

 

島田哲也シェフ/プロフィール

埼玉県生まれ。23才で渡仏し数々の星付きレストランで研鑽を重ねる。「アルページュ」のシェフ アラン・パサール氏に認められ、野菜へのこだわり、食材の調理法に、大きく影響を受ける。日本の四季で育つ野菜に着目し、生産者との交流も多い。“日本食材”を用いた身体にやさしいフランス料理を心がけている。

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イレール 人形町

 

〒103-0013 
東京都中央区日本橋人形町2-22-2
TEL 03-3662-0775
営業時間
11:45~15:00( LO14:00 )
18:00~23:00( LO22:00 )
日曜・第3月曜日定休
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