ニッポンを食でを元気に

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連載③ ラ フィネス/ 杉本敬三シェフ

「フォワグラのトリプルコンソメのポッシェ

     パンドエピスのパウダーを添えて」

 

地元京都で8歳から日本料理の基礎を学び、フランスで12年の経験をもつ杉本敬三シェフ。“料理は作品でそれを作るシェフは職人である”というシェフは過去のレシピを一切持たず、その日に届いた食材の声を聞き、五感をフル稼働させてひと皿をつくり出します。フランス料理はこうあるべき、という枠にとらわれず自分が美味しいと思ったものを作るだけ、と語る杉本シェフにとっての「ニッポンの味」をうかがいました。

 

これは僕のスペシャリテのひとつです。フォワグラとコンソメを使っていてとてもフランス的ですが、日本料理の要素がたくさん含まれています。まずはコンソメです。和食が世界遺産になったときに、だしが注目されました。日本のだしは、世界で唯一の“油の入らないうま味成分”です。世界で味わえるグルメの中でも、油の要素は非常に重要視されることが多い。けれど日本料理は油をほとんど使わずにこのうま味を作って行きます。 今はレストランでもだいぶ作られなくなってきたけど、フランス料理にもコンソメという技術があります。それをベースに、僕は日本人であるから油脂分に頼らないうま味を追求したいと思ってコンソメを作っています。今回フォワグラにうま味を閉じこめる為に使っているのはトリプルコンソメ。これは、あらかじめとったブイヨンで更にブイヨンをとるダブルコンソメを、究極に煮詰めたものとしてつけた名前です。このブイヨンはとても手間がかかるけど僕の作る料理の中で非常に大切なものです。3リットルのスープを作るのに、鶏ガラ50kg,牛テールを50本、香味野菜と水400リットルが入っていて、それを何時間もかけて3リットルになるまで煮詰めて行きます。このように仕上げた濃厚なコンソメにフォワグラを入れ、低温でじっくりと奥まで味をしみ込ませてあります。これは西京漬の考え方ですね。漬け込むことによって味を染み込ませる、フォワグラにコンソメのうま味を閉じ込める。  一見出されたフォワグラを見ても、それはわからないかもしれません。けれどそこには目に見えない仕事がなされています。これも江戸前の鮨の考え方に通じるものがあります。直接は見えないところに細かい仕事がなされていて、その要素をさりげなく出す、それが日本人らしいと思います。

 

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お店で出している食材は京都から送ってもらっています。京都の農家はひとつの野菜をとことん極めている生産者が多いからです。そしてそれは何世代も続いています。歴史が続いている野菜は、香り、うま味、そしてアクが強い。アクの強い野菜は面白い。うまく使えば個性が出せますから。それが京都の野菜の魅力です。魚も京都の市場から取っています。京都の食材は、料亭に出されるものをベースに集められているので、火を入れるのに合うものが多いと思います。だから、フランス料理のソースにも負けない味と食感が残ります。うま味の出し方、力のある食材を探すと言った点では日本料理もフランス料理も変わらないですね。大きく違うのは、日本の食材はこだわり抜いた“職人”が作っているものがあること。

例えば最近漁が解禁になった蟹。ロシアから入ってきたものと、店で使っている間人(たいざ)蟹では値段が10倍違います。同じ食材でこれだけ値段とものが違うのはフランスでは考えられない。それだけ日本の職人が手間と技術をかけているということです。すごく高い良いものを、きちんと使える料亭があるから守られているんですよね。そういう食材をもっと店で使っていきたい。  ただ、日本料理の世界ではコースで50000円とかそれ以上の設定が普通にありますが、フランス料理ではなかなか難しいのが現実です。これからの目標として、日本の本当にいい食材をフランス料理として提供していきたいと考えています。

text by Hiroko Shinbori

 

 「フォワグラのトリプルコンソメのポッシェ パンドエピスのパウダーを添えて」レシピ

 

 

杉本敬三シェフ/プロフィール

1979年京都府生まれ。料理の研修という名目で厨房に入ったのは8歳。19歳で渡仏し、アルザス地方を中心に滞在し修業を重ね、4年目でシェフに就任。8年の滞在を経て帰国。2012年新橋に現在の「ラ・フィネス」を開店、オーナーシェフとなる。 2013年に開催された、コンペティション「RED U-35」で、初代グランプリ「レッドエッグ」を受賞。

 

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ラ フィネス

〒105-0004東京都港区新橋4-9-1 新橋プラザビルB1F
TEL: 03-6721-5484
営業時間
:火〜金18:00~24:00( LO 19:30 )
       土 12:00~16:00( LO 13:00 )/18:00~24:00( LO 19:30 )
日曜・月曜日定休

 

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