連載④ ダ オルモ / 北村征博シェフ

「トローテ・イン・ブルー」

 

いい食材がなければ料理人は何もできないから、生産者にとっての一番の応援者でありたいと語る北村シェフ。お店で使用する食材の生産者のところへは必ず足を運び、作り手の環境や苦労を理解して交流を深めています。北イタリアを愛し、その伝統的な味を日本食材で表現するシェフが考える「ニッポンの味」をうかがいました。

 

 

これは、僕が修業した北イタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州の郷土料理です。この料理は、白ワインと野菜、スパイスを入れただしでマスを低温煮にしたものです。イタリア北部では新鮮な魚が手に入りにくいので、川魚を重宝していました。特にマスはよく食べられていて、レストランでも漁師さんが持ってきてくれた釣りたての天然マスを調理していました。日本に戻ってからこの料理を再現しようとしたとき、色々なマスを試してみたのですが、なかなかしっくりこなかった。イタリアのマスはもっと強い味わいがあったから、それに近づけたいと思っていて。そんなとき、八王子で養魚場をしている生産者さんと出会い、そこのヤマメを食べました。イタリアではヤマメやアユはあまり使わないのですが、そのヤマメを食べたとき、ピンと来たんです。イタリアで作っていたものよりあっさりとした味わいになったのですが、日本の野菜やバターととても相性が良かった。その味わいは、子供の頃によく食べた南蛮漬けを思い出して、すごく懐かしい気分になったのを覚えています。イタリアと日本の郷土料理がリンクした感じですね。

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付け合わせの野菜も信頼した生産者さんのものを使っています。今は、栃木の川田農園と山梨のうえのはらハーブガーデンが多いですね。どちらも実際に畑に行って、野菜作りを手伝ったりしています。イタリアでは、市場で買った野菜でもすごく味が濃くて、生産者を選ばなければいいものが手に入らないということがなかったのですが、日本に戻ってからはいい生産者を探すことがとても大切な仕事のひとつになっています。市場で手に入るものは誰がどのように作っているかわからないものがほとんど。自分が使う食材は、生産者の顔や、環境を知った上で料理したいと思っています。最近では素晴らしい生産者が増えていて、食材も力を持っているものが多くなってきました。特に野菜は、土壌や育て方、環境の違いで、イタリアにはない日本独特の味わいが出てきていると感じます。第一に、それはみずみずしさなのですが、しっかりと中まで火を入れた方が美味しいイタリアの野菜に比べ、同じ種類のものでも日本の野菜は表面にしっかり焼き目をつけるだけの方が風味がたち、甘みが出てきます。それぞれの良さがあるので、それを最大限生かすように調理法も変えています。日本人は勤勉なので、食材もどんどん進歩して行くのが楽しみですね。

text by Hiroko Shinbori

 

 

「トローテ・イン・ブルー」レシピ

 

 

 

北村征博シェフ/プロフィール

1975年京都府出身。19歳からイタリアンの道へ入り2000年より渡伊。ロンバルディア「アル・ピーノ」、エミリア=ロマーニャ「パオロ・テベリーニ」、トレンティーノ=アルト・アディジェ「シューネック」で1年ずつ修業を積み、帰国後04年から日本橋「ベアート」シェフに。その後、新宿三丁目「トラットリア・ブリッコラ」シェフを経て、ソムリエの原品真一さんと共に2012年独立。

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ダ オルモ

〒105-0001 
東京都港区虎ノ門5-3-9 ゼルコーバ5 1F
TEL 03-6432-4073
営業時間
火〜金11:30~14:00/18:00~23:00
       土 18:00~23:00
日曜・祝日定休

 

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