ニッポンを食でを元気に

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連載⑬ アクアパッツァ•アクアヴィーノ/ 日高良実シェフ

ナポリタン

 

東京•広尾の商店街を抜けると、まるでイタリアの街角を思わせるテラス席が見えてきます。ここは「リストランテ アクアパッツァ」の日高良実シェフが旬の食材を使ったイタリア料理をカジュアルに楽しめる店として2001年にオープンしたお店「アクアヴィーノ」。イタリアの家庭料理のような素朴で温かい料理を、日本人になじみのあるスタイルで提供したい、そう話す日高シェフに、お店で一番の人気メニューである“ニッポンの味”を紹介していただきました。

 

「アクアヴィーノ」の看板メニュー、「ナポリタン」です。お店をオープンする時に、日本人に一番親しみのあるスパゲッティを出したいと考え、メニューにしました。ナポリタンは数ある日本のパスタの中でも別格で、まだ多くの人はイタリアでも食べられているパスタだと思っているんじゃないかな。それくらい世代に関係なく日本で一番愛されているパスタだと思います。うちのナポリタンの特徴は通常のナポリタンに使われているスパゲティより少し細めの麺を使っていることと、多めに振った黒コショウ、そして上にのせたセロリのせん切りです。当初は別名「酒飲みのナポリタン」と呼ばれていたくらいで、ピリッと効くコショウと、セロリの清涼感が飲んだあとにピッタリなんですよ。〆のラーメンではなく、〆のナポリタン(笑)。野菜もたっぷり入っています。

 

th_DSC0021アクアパッツァをオープンしたのが1990年、それからずっと日本の素材を活かしたイタリア料理を目指しています。私がイタリアにいた1986年頃はひとつの店で長く修業するのが主流だったんだけど、自分はとにかくイタリア各地の料理を見たかった。だから北から南までとにかくたくさんの店を回りました。そこで気づいたことはその土地でとれるものを使って作るのがイタリアンだ、と言うこと。日本もイタリアと同じような地形でその土地の旬のものがたくさんあるので、それをシンプルに提供したい。そう思ったわけです。けれどオープン当初は野菜を手に入れるのに本当に苦労しました。有機、無農薬という言葉が出始めた頃で、生産者がこだわって作った野菜も味が伴わず洋野菜にいたってはほとんど手に入らなかった。輸入野菜を使っている店も多かったけど、イタリアで学んだ思いがあるからそれは使いたくない。そんな時に出会ったのが築地の卸業者“大祐”の大木健二さんでした。レストランと農家さんをつなげて今の洋野菜の礎を築いたパイオニアです。洋野菜を作るために種を仕入れてきて農家さんへの指導をする。それぞれの野菜の良さ、おいしさを熱く語る姿に何度も感動しました。一緒にシチリアへ野菜の視察にも行ったことがあるのだけど、同じ種で育ててもイタリアで作るものと日本のものでは味がまったく違うことに驚いたことを覚えています。日本の野菜は優しすぎるとよくいわれますが、それぞれにいい面があると思うし、日本で作るイタリア料理なのだからそれぞれの良さをいかして料理をしたいと。今では北は北海道から南は沖縄まで、たくさんの生産者が色々な洋野菜を作っています。その生産者の方々と、礎を気づいた大木さんがあったからこそ自分の求めるイタリア料理が出来ているのだなあと思います。少し話がそれてしまいましたが、「ナポリタン」は、洋食ブームで洋野菜の認識が広がるきっかけとなったもの。その日本の懐かしい味に、イタリア料理のヒントを加えたこの一品が私にとってのニッポンの味です。

text by Hiroko Shinbori

 

「ナポリタン」レシピ

 

 

日高良実氏プロフィール

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1957年神戸市生まれ。調理師学校を卒業後フレンチの道に入るがイタリアンへ転向。東京での修業後、86年にイタリアに渡る。3年間で北から南まで計14軒で修行し、“イタリア料理の魅力は郷土料理にあり”と実感する。1990年「アクアパッツア」(西麻布)のオープンとともに料理長に。2001年に本店を現在の広尾に移転。それと共にカジュアルイタリアンとワインが楽しめるアクアヴィーノをオープン。現在は、東京を拠点として日本の食材を活かした独自の料理を提案し続けている。

 

 

 

 

 

 

 

アクアヴィーノ

〒150-0012  
東京都渋谷区広尾5-17-10 EASTWEST 1F
TEL:03-5447-5503
営業時間
 ランチ   11:30〜15:00(土日祝11:30〜16:00)
    カフェ  11:30~22:30 L.O.
   
 ディナー 17:00~22:30 L.O. (日祝17:00〜22:00LO)
年中無休(年末年始/メンテナンス休暇を除く)
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