ニッポンを食でを元気に

ニッポンを食でを元気に

連載⑰  メリメロ/ 宗像康雄シェフ

「シーフードドリア」

 

飯田橋の路地裏にひっそりと佇むビストロ「メリメロ」は有機野菜と自然派ワインが楽しめるお店です。木の温もりと光が差し込む店内は、まるでパリの街角に来たよう。素材に対してまっすぐな宗像康雄シェフが作るお料理は、そのほんわかした雰囲気からは想像できないほど食材の力がしっかり感じられる力強いものばかりです。「気軽にフレンチを楽しんでほしい」という宗像シェフが考えるニッポンの味とはどんなものなのでしょうか。

 

th_DSC1466ドリアって、日本で生まれたメニューなんですよ。横浜のホテルニューグランドの初代総料理長、サリー•ワイル氏が即興でつくったのが始まりといわれています。当時、体調がすぐれないお客さんのリクエストで作ったという話だけどごはんにたっぷりのベシャメルソースがかかっていて、仕上げにオーブンでこんがり焼く、間違いなく美味しいですよね。

僕は横浜出身なので、小さい頃から洋食にはなじみがありました。ホテルニューグランドの他にもドリアやグラタン、ナポリタンなどを出す街場のレストランも身近にあって。ワイル氏が横浜にいたのはまだ僕が生まれる前なので彼の偉業を知ったのは料理人になってからですが、第一線で活躍したたくさんの料理人を育てたこと、帰国後にはフランスで日本の料理人の修業先の手配やビザの申請などを手伝って架け橋になったこと……。彼が日本に来たことで日本のフランス料理が始まったと思うんですよね。その貢献に敬意を表して、このメニューを選びました。

 

 

th_DSC1429僕が料理人を志した80年代はまだフランス料理の基本レシピのほとんどはワイル氏がフランスから伝えたものでした。修業時代に作り続けたソースやフォンなど、もちろんこのベシャメルソースも基本は当時のまま。フォンドボーは3日間くらい、デミグラスソースなんかは10日間くらいかけて作っていましたね。最近では地方料理を回帰したものや素材を重視する料理に方向が向かっていて、レストランであまり粉を使ったソースが作られなくなっているように思いますが、やはりフランス料理の基本はソースにあると思うんです。そのなかでも幅広く日本で愛されているのがベシャメルソース。これにごはんをあわせるのはフランス人には思いつかないんじゃないかな。フランスでの修業時代は、ヨーロッパのスタッフと一緒にお米料理をよく食べていたけど、このドリアを食べさせたら、みんな間違いなく美味しいって言うだろうな(笑)フランス料理の正統なソースに日本の主食であるごはんを組み合わせたこの料理は、当時ワイル氏が日本人にも親しみやすいようにとアレンジして作られたもので、今では色々な形に変わって日本で愛され続けている。フランス料理を気軽に楽しんでほしい、と願う僕にとっても大好きな一品です。

text by Hiroko Shinbori

 

→「シーフードドリア」レシピ

 

宗像康雄氏プロフィール

1962年神奈川県生まれ。都内のフランス料理店を経て1990年から5年間渡欧。スイス、フランスで修業を重ねる。帰国後、96年に渋谷「ビストロ•ダルブル」の料理長になり野菜だけのコースで人気に。有機野菜で作る素朴な料理と自然派ワインが味わえる店として2003年飯田橋に「メリメロ」をオープン。自然派ワインの造詣も深く、ほんわかした雰囲気にファンも多い。

th_DSC1470

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メリメロ」
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4−5−4
TEL:03-3263-3239
営業時間
  ランチ   11:30~14:00 L.O.
         ディナー 18:00~22:30 L.O.
日曜定休

th_DSC1411